2011年8月25日木曜日

千体仏地蔵堂 1008の木端仏に囲まれた円空仏【愛知】

愛知 千体仏地蔵堂


愛知県津島市。

愛知県と岐阜県の境である木曽川の東に位置し、「西の八坂神社、東の津島神社」と呼ばれた 牛頭天王信仰の総本社である津島神社の門前町として繁栄してきたこの街に、 江戸時代の行脚僧「円空(えんくう)」が彫った千体仏が安置されている。

津島市といえば津島神社が有名であるが、千体仏はこの津島神社に向かう途中のお堂に安置されている。


千体仏地蔵堂
全国津島神社の総本社「津島神社」

千体仏地蔵堂と呼ばれるこのお堂は、開扉期間の情報が不確かであったがようやく8月24日の地蔵盆に ご開帳されるということが分かった。


地蔵堂は、名鉄津島駅の前を通り津島神社の東の楼門に繋がる天王通りに面しており、 津島駅と津島神社とのほぼ中間地点に位置する。


千体仏地蔵堂
名鉄津島駅



千体仏地蔵堂
津島駅から天王通りを見る

天王通りとは昭和に入ってから整備された街道で、それまではこの辺りは狭い路地だったそうだ。


千体仏地蔵堂
常楽禅寺




千体仏地蔵堂
西方寺

津島駅から千体地蔵堂に向かうまでも常楽禅寺、西方寺の脇に地蔵堂があり綺麗に飾り付けられた様子をみると この地域の人々が地蔵盆を大切にしていることがよく分かる。



千体仏地蔵堂
千体仏地蔵堂

天王通りを津島神社の方へ歩いて行くと白いテントが見えた。

ここが千体地蔵堂である。
このテントさえなければ通り過ぎてしまうほどの、小さなお堂だった。

永代供養と記された灯篭と、小さなお堂がふたつ。 普段はガラス戸をしているようで、この日のために壇を設置するのだとか。



千体仏地蔵堂
千体仏地蔵堂

お堂の中には厨子が入っており、その厨子の中に高さ39cmの善財童子と護法神像、14cmの韋駄天像が 一躰ずつ安置され、中央に(といってもその厨子の中の空間の殆ど全てを)地蔵菩薩を中心とした千体仏が安置されている。


千体仏地蔵堂
千体仏地蔵堂(津島市デジタル博物館より引用)

中心の地蔵菩薩は高さ21cmで、その周りを5cm程の大きさの小仏千躰がまるで岩壁のように作られた 光背にぎっしりと並べ付けられている。

その小仏の圧倒的な量感は、まるで賽の河原へなだれ落ちて行く無数の命のようで恐ろしくもあるのだが、 中心の地蔵菩薩の微笑を見ているとその河原から救いだされたした命のようでもある。


地蔵菩薩の裾には、もともと六地蔵が付けられていたようであるがよく見ると今は8躰で後世に修復されていることが分かる。

というのも、先に書いた通りこの天王通りは昭和に入ってから整備された道で、 それまではこのお堂も路地の一角に建つごく普通のお堂で、近所の方も特に気にしていなかったのだと 世話人の方は言う。

それは私たちがもつ仏像に対するイメージと円空仏の像容とは異なっているからなのだろう。 この像が円空の作であるということすら知らずに昭和30年代までこのお堂に安置されていた。


しかし、安置と言っても今のような文化財としての姿ではなく、荒れた堂内で埃をかぶった悲惨な状態であった。
その後、この像が円空の作であるということが分かり修復に出すのだが、小仏を掃除をし接着剤で止めるという 修理の仕方で今では円空が付けた本来の位置に小仏はない。


千体仏地蔵堂
千体仏地蔵堂


それは小仏を一つ一つ見ても分かるのだが、右を向いたり左を向いたりとバラバラで統一感がない。
光背としての小仏であるなら放射状に付けられていたと考えることもできる。

その円空仏が入る厨子の隣には、これまた円空とは別の鉈彫の仏像が数体置かれている。
これは、円空仏を修復に出す際にその下から出てきた仏像らしく、これは開扉時期でなくとも ガラス越しに拝見することができる。 その像を円空仏と勘違いし紹介するHPなどもあるようだが、これは円空とは全く関係がない。


地蔵盆の一日だけということもあり、私がお堂にいたその間も町の人がお供え物や奉納金を持ってきたりと 観光寺院にはない、ゆったりとした時間が流れていた。
その人達はみんな円空仏のような優しい笑顔であった。



千体仏地蔵堂
津島神社参宮道


世話方の方にこの町の話を聞き、天王通りの南側が津島神社に続く本来の参宮道であるということを教えてもらい、 津島神社までの街道を歩いた。


円空の千体仏がこのような姿で残っているのは日本でもここだけであるので、 是非一度は拝見していただきたい。

尚、8月23日・24日を地蔵盆として開扉されていた千体仏地蔵堂であるが、 近年は高齢化も進み8月24日だけを地蔵盆のご開帳とされている。 あと一日だけ現在は開扉されるのであるが、それはこの先の天王川公園の藤まつりが 開催される期間の一日で通常はGWの天気の良い、一日のみお堂を開けて円空さんを 拝んでいただくことができるのだという。

GWのご開帳に関しては津島市役所産業振興課に事前に確認すると教えていただけるらしい。





千体仏地蔵堂HP:ナシ
所在地:愛知県津島市天王通り3丁目

名鉄「名古屋」駅から名鉄津島線で約22分「津島」駅下車、徒歩10分
   
拝観時間:ご開帳時は10:00~16:00
拝観料:志納
その他詳細情報は仏像ワンダーランドHPへ>>




千体仏地蔵堂周辺地図

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参拝日:2011/08/24





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