2011年3月31日木曜日

石塔寺 84000の石塔群【滋賀】

石塔寺

滋賀県は琵琶湖の南東、蒲生にある石塔寺へ向かった。
蒲生の北端にあるこの石塔寺はその名のとおり、数多くの石塔が並ぶ古刹である。


この日は3月の終わりで、境内に着くとうぐいすの初鳴きが聞けた。
寺務所で拝観料を支払うと高く長い石段を登った先に石塔群はあるのだという。

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石塔寺


この近くには湖東三山で有名な百済寺も石塔が多かったが、
この寺はそれよりも多く8万4千もの石塔があるという。
石段の左手に並ぶ石塔だけでも多いのにこれはまだほんのわずかに過ぎない。

石塔や地蔵菩薩や阿弥陀如来の石仏が並ぶ石段を登ると、そこは平地となり風景が一変する。
石塔以外に何もなく風と鳥の声しか聞こえない。
少し赤みのある土はどこか異国の、朝鮮半島百済をイメージしたものに近い。

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石塔寺三重石塔


その平地に天を指さすようにそびえるのが、国の重文である三重石塔。
別名、阿育王(あしょかおう)塔である。

庇が少し反り、独特な形のこの三重塔は日本最古・最大の石塔で時代は奈良時代の前期だという。
もしかしたら蒲生野であの有名な歌をよんだ額田王や大海人皇子も見たのではないだろうかという、
空想を描いてしまえるくらいに、この大地は石塔の他に何も無い。
この三重石塔は寺伝によるとインドの阿育王が、釈迦入滅後100年にインドを治めたとき、
仏法の興隆のために世界に撒いた八万四千の仏舎利塔のひとつと伝えられ、平安の時代には
七堂伽藍をもつほどに大きくなったという。

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石塔寺 左が宝塔、中央と右が五輪塔


境内には他にも二基の五輪塔と宝塔がありこちらも国の重文指定をうけている。
五輪塔は刻銘によると1304年(写真中央)と1349年(写真右)に造立されたことが分かっている。

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石塔寺石塔群


境内には横に広く高さ30センチ~50センチほどの高さの石塔や石仏がずらりと並ぶ。

顔のわからない石仏や屋根の落ちた石塔など、それぞれが長い年月をこの地で
過ごしてきたのが伺える。

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石塔寺 参拝路



さらに左にずっと歩いて行くと雰囲気は変わり、山道を楕円を描き
三重石塔の裏側へ回る道が続く。


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石塔寺 石仏


最初の密集具合とは変わりこの参道は八十八箇所巡りができるようになっている。
とびとびに安置された石仏はどれも二尊ずつ彫られていた。

石塔の数八万四千。
車の騒音も人の声も聞こえない自然の中でなんとも言えない興奮が味わえる。

一つ一つの石仏や石塔を拝見するというよりも、この空間を味わっていただきたい。



石塔寺HP:ナシ
所在地:滋賀県東近江市石塔町860

電車:JR「近江八幡」駅より、近江鉄道乗車「八日市」下車、貴生川線乗り換え「桜川」駅下車、
   湖国バス中之郷行き乗り換え、石塔口下車、徒歩15分
   
拝観時間:9:00から17:00(5月から10月までは18:00まで)
拝観料:400円
休み:ナシ
その他詳細情報は仏像ワンダーランドHPへ>>




石塔寺周辺地図

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参拝日:2011/03/31





2011年3月17日木曜日

日本赤十字社「東北関東大震災の義援金窓口」が開設されました。

日本赤十字社「東北関東大震災の義援金窓口」


被災をされた方々に千羽鶴を贈りたいが、このような災害時には輸送手段の一部を千羽鶴に取られ肝心な食料や水が届かず支援の妨げとなってしまう。
今私たちが出来る支援といえば、節電等様ざななことがあるが、何よりも大切なのはお金であることに間違いはないであろう。


日本赤十字社ではHPで今回の震災の専用の義援金口座を開設した。

二千円以上というのがクレジットカードからの原則であるがこれなら簡単に鶴が送れる。千円札の裏側には鶴が二羽。二千円以上なら最低でも一人四羽を送ることができるのです。


もちろん、銀行振込や街頭募金なら二千円という下限はなく、その時その場で寄付できる。


今回は実際にクレジットカードからの申し込みをしてみたので、手順を併せてご紹介します。


まずは、下記URLの日本赤十字社HPに移動。
http://www.jrc.or.jp/

日本赤十字社HP

2011年3月17日では、日本赤十字社のトップページに義援金窓口の案内があったので、〈コチラ〉をクリック。

日本赤十字社HP

ページの中ほどに「義援金窓口3」のこちらという箇所をクリック。
※尚、その上部には銀行振込・郵便振替用の口座番号が明記されている。


日本赤十字社HP

すると次の画面で支払い方法が、クレジットカード・コンビニエンスストア・Pay-easyの3種ある中の
クレジットカードをチェックし、OKボタン。すると注意書きがあるので問題がなければ「同意する」をクリック。


日本赤十字社HP

あとはカードに記載のクレジットカードの番号と有効期限を入力して「支払い」ボタンを押すだけ。


日本赤十字社HP

「クレジットカード決済が完了しました。ご寄付ありがとうございます。」
の画面になれば義援金の寄付は完了。

所要時間10分もかかりません。

皆んなで送れば何羽もの鶴が被災地へ届きます。
今、私ができる事は義援金でした。

沢山の義援金が被災地へ届き、一日も早い復興と笑顔がもどることを祈ります。
頑張れ!そして頑張ろう!


日本赤十字社HP: http://www.jrc.or.jp/






無量光院 1202年慶派仏師造立の阿弥陀三尊像【愛知】

無量光院

愛知県の北西部、広大な濃尾平野の中央に当たる稲沢市の無量光院で
鎌倉期の阿弥陀三尊を拝見することが出来た。


この稲沢市は裸祭りで有名な国府宮神社があるように、奈良時代からは国府がおかれた場所でもある。


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無量光院

今回訪れた無量光院の他にも近隣には安楽寺や、今では名古屋市大須に移った七寺(ななつでら)など多くの寺院が存在する。
その中でも阿弥陀三尊形式を本尊とされる寺院が多いのはこの街の特徴なのかも知れない。
愛知県内でも名古屋市、岡崎市に次いで文化財が多く、寺院に安置される仏像も多い。

無量光院は正式には中庄山満願寺無量光院といい、境内には本堂と国の重要文化財に指定された阿弥陀三尊を安置する収蔵庫、鐘楼、庫裏がある。
ここの阿弥陀三尊は本来は重要文化財ということもあり、市の教育委員会を通さねば拝観はできないのだが、急なことを承知して電話で先代の住職にお願いしたところ、承諾を頂いた。

到着し、先代住職のもとへ行くともう90歳は超えているであろうご高齢の方で、耳が遠く私の電話はほとんど聞こえていなかったようだ…
「今日は何の御用で?」
と、言われ今日の拝観は難しいだろうと思ったが、阿弥陀様を拝見させて欲しい旨を30cmほどの至近距離で大声で伝えると、
「本当は市を通さないといけないのだがまぁ良いでしょう」
となんとか拝観許可をいただけた電話ではそう伝えたつもりであったが、現地で直接拝観交渉をしたのは初めてである。


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無量光院 収蔵庫

先代住職に収蔵庫に案内され幾つもの鍵のかかった扉を開けてもらう。
綺麗に掃除のされた12畳ほどのスペースに阿弥陀三尊と中尊と脇侍に挟まれるように毘沙門天と不動明王が安置されている。

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無量光院 収蔵庫

阿弥陀如来は140.2cmの鎌倉時代の造立で、体内の墨書から建仁2年(1202年)に慶派仏師寛慶が造立したことが分かっている。
平安期の定朝様をよく表した姿はこの無量光院から300mほど離れた奥田の安楽寺に平安期の阿弥陀三尊が安置されているのだが、ここの阿弥陀三尊はそれとよく似ているのだという。

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無量光院 収蔵庫

木曽川の肥沃な大地に育った阿弥陀様はバランスも良く柔らかな肉体で、台座は破損したものの明治期に奈良の修理所で修理をし今に至っている。

この稲沢の地は私の知らない優れた仏像が数多く安置された土地に違いない。
これから少しずつではあるが、記録していこうと思う。



無量光院HP:ナシ
所在地:稲沢市中之庄町辻畑101

名古屋駅から名鉄名古屋本線名鉄岐阜行「大里」駅下車 徒歩25分
拝観:要予約(稲沢市教育委員会) 拝観時間:要確認
拝観料:志納
休み:ナシ



無量光院周辺地図

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参拝日:2011/03/10





2011年3月14日月曜日

【pray for japan】 世界から届いた日本への祈り

3/11に発生した東北地方太平洋沖地震により被害を受けられました皆様に
心からお見舞い申し上げます。


東北地方太平洋沖地震の被害を聞き、
日本だけではなく世界各地の人たちも応援しています。
http://matome.naver.jp/odai/2129985372846288901


頑張ろう日本!


頑張れ日本!

2011年3月2日水曜日

常楽寺・長寿寺 濃く深く拡がる仏像空間【滋賀】

常楽寺・長寿寺

善水寺からスタートした湖南三山巡り。
善水寺から西に車で30分、次の目的地は東大寺の初代別当良弁僧正が建立と
伝えられている常楽寺に到着した。


調べたところ、こちらのご住職は他の寺院の住職も兼務されているため、
拝観の際は電話で予約する必要があるということだったので、急遽出発の前日に
連絡をすると、幸運にもその日はお寺にいるらしく快諾いただいた。
普段は時間なども告げなければならないような感じであった。


境内でまず目に飛び込んでくるのは、なにやら物々しい柵の数々。
受付にいらっしゃった住職にお話を聞いたところ、留守にしてしまうことがあるため、
国宝指定の三重塔や本堂の保全のために警備会社を入れて厳重に管理しているのだとか。

拝観料を払い境内に入ると善水寺と同じく桧皮葺の本堂と左奥には
三重塔が建っている。

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常楽寺 三重塔


本堂は善水寺よりも奥行きが1間分多い7間×6間の構造。
南北朝時代に再建された入母屋造りで、今では非公開の三重塔と共に、
国宝に指定されている。

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常楽寺 本堂



古い近江の書籍では、この寺の三重塔には阿弥陀如来が安置され、
内部の色彩は色鮮やかに残り室町時代に建立された当時の面影を残している…
そう書かれていた。

しかしそれも昔の話。その後は無住の寺となり、三重塔は開扉していたので、
管理状態が悪く、当時の色彩は失われ今では赤外線でないと見ることが出来ない程の悲惨な状況だという。


しかし、本堂内は無住の時代があったとは思えないくらい仏像が数多く安置され、
中でも心惹かれたのが70cm程と小さいが二十八部衆と風神雷神。

二十八部衆とは、この寺の本尊である秘仏千手観音の眷属(取り巻き)で
京都の三十三間堂では、千手観音の前に並ぶ像がそれである。

その姿はどれも鎌倉期らしい表情豊かなお顔と、
今にも動き出しそうな姿。

お厨子に入った千手観音を挟むように左右15躰ずつ、
3段の須弥壇に安置されている。

しかし、残念ながら二十八部衆の一体と、
風神は盗難にあい堂内にはない。
無住であったため盗難の被害にあったのだとか。

仏像が好きな方ならきっと、興奮すること間違い無しの
濃度の濃い仏像空間が拡がっていた。



常楽寺から車で10分もしない距離に、湖南三山のひとつ長寿寺がある。
長寿寺を東寺(ひがしでら)、常楽寺を西寺(にしでら)と呼び、寺伝には
常楽寺と同じく良弁僧正が建立したと伝えられている。

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長寿寺 山門


大きくでっぷりとした桧皮葺の傘をかぶった華奢な山門をくぐると、
本堂までは一直線。

こちらのお寺も1月から3月までは拝観予約が必要なため、
2時に予約したところ、ご住職の奥様が門前で待っていてくださった。

こちらも本堂は国宝に指定されており、善水寺、常楽寺より古い鎌倉時代に
再建された桧皮葺のお堂で、この境内に存在した三重塔は織田信長により
安土城山中の摠見寺に移築されている。


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長寿寺 本堂


本堂の鍵を開けて下さり、中に入ると他の二ヵ寺で拝見した十二神将や
二十八部衆といった眷属はいないものの、秘仏本尊の子安地蔵の両脇には
左に平安期の釈迦如来、右に阿弥陀如来が並び、
本堂を出た右手の収蔵庫には、丈六の阿弥陀如来坐像が安置されている。

収蔵庫でこの旅最後となる仏像が丈六の阿弥陀様だったというのは
なんとも嬉しいこと。この阿弥陀如来坐像は藤原期(平安後期)の作で
頬がふっくらした柔らかな表情の仏さま。

善水寺、常楽寺、長寿寺と国宝本堂をもつ湖南三山。
仏像を拝見するということで考えるなら湖東三山よりも
充実した見仏旅行になるはずです。





常楽寺HP:http://www.eonet.ne.jp/~jo-rakuji/
所在地:滋賀県湖南市西寺6丁目5-1

電車:JR草津線「石部」駅下車、バスで「西寺」下車徒歩3分
拝観時間:9:00~17:00(12月から2月までは16:00まで)
拝観料:500円
休み:ナシ
その他詳細情報は仏像ワンダーランドHPへ>>




常楽寺周辺地図

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長寿寺HP:ナシ
所在地:滋賀県湖南市東寺5丁目1-11

JR草津線「石部」駅下車、バスで「長寿寺」下車
拝観時間:9:00~16:00
拝観料:500円
休み:ナシ
その他詳細情報は仏像ワンダーランドHPへ>>




長寿寺周辺地図

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参拝日:2011/02/23