2011年9月2日金曜日

安倍文殊院 綺麗になった文殊館!平成23年卯年特別結縁拝観【奈良】

奈良 安倍文殊院


快慶作の高さ7mという日本最大の文殊菩薩で有名な安倍文殊院の歴史は古く、 寺伝では大化元年(645年)に阿部一族の本拠地であったこの寺院のある「阿部」の地に、 当時の左大臣阿倍倉梯麻呂(あべのくらはしまろ)が安倍一族の氏寺として「阿部寺」を ここから南西300mほど離れた地に建立したのが始まりである。


安倍文殊院
安倍文殊院 山門


その後平安時代に建てられた別所が現在の安倍文殊院で、 陰陽師として今でも有名な安倍晴明の没後、彼が「文殊菩薩の化身」であるという民間信仰が 広まったことから慶派の仏師快慶により文殊菩薩群像が作られた。


安倍文殊院
安倍文殊院


今年は平成23年3月に本堂の大改築が完成したのを祈念して特別結縁拝観が行われており、 本堂内陣奥まで行き拝見することができる。

本堂にはまるで神社のように思えてしまう合格祈願の絵馬などが掛けられており、 少し独特な空気が流れている。

お堂の荘厳さが損なわれてしまっているのはいささか残念である。


安倍文殊院
安倍文殊院 本堂

本堂で受付を済ませ、お抹茶をいただき早速、本尊が安置されている文殊館へと向かった。
三人寄れば文殊の知恵と言われるように、知恵を司るのが文殊菩薩で、 乗るのは百獣の王である獅子。
百獣の王をも制するということを表しています。


安倍文殊院
安倍文殊院本尊 文殊菩薩坐像(絵葉書より引用)


右足を左足の膝の上に乗せた半跏踏下坐(はんかふみさげざ)で、 右手の剣は煩悩を断ち切ることを意味し、左手に握る蓮華は煩悩を取り去った境地を表します。

つまり文殊菩薩は単なる知識を与えるだけではなく、 人間の煩悩から生じる悩みを取り去る知恵をも授けてくれる菩薩さまなのです。


その姿は獅子を併せて高さ7mという巨大なお姿。
よく目をこらせると宝冠の5つの化仏があり、文殊菩薩が敬愛に溢れることを意味している。また衣や唇には彩色が残っていることがわかる。

安倍文殊院
安倍文殊院 渡海文殊群像(絵葉書より引用)


改装前のお堂は背後まで木の板が張ってあり時代を感じさせる造りであったが、 今回の改装により背後が白い壁になりより一層、文殊菩薩の煌びやかな姿が際立つ造りとなった。

獅子に乗り4人の従者を従え人々を救いに行く渡海文殊の姿。 永禄六年(1563年)には兵火にあい群像の向かって左後の維摩居士と文殊菩薩の乗る獅子が消失して、 現在の二躰は安土桃山時代に新たに作られたものである。


安倍文殊院
安倍文殊院 望郷詩碑

平成22年に平城遷都1300年祭を記念し、遣唐使として渡唐した阿倍仲麻呂の詩が書家・榊莫山氏の揮毫により金閣浮見堂(仲麻呂堂)の前に建立された望郷詩碑。これは仲麻呂が唐から帰郷の折、中国蘇州の港にて詠まれたという詩。


「天の原 ふりさけみれば 春日なる 三笠の山に 出でし月かも」


安倍文殊院
安倍文殊院 閼伽井古墳(東古墳)


古来より枯れることなく湧き続ける飛鳥時代の閼伽井(あかい)古墳または東古墳ともいう。
この泉に湧水は「閼伽水(あかすい)」と呼ばれ「仏様にお供えするための清浄かつ神聖な水」という意味を持つ。 ここを参拝すると知恵が湧く事で古来から参拝者が訪れる。


この近くには国宝の十一面観音を安置する聖林寺や、車で20分も走れば明日香の岡寺、飛鳥寺などへも行動可能なので、 この安倍文殊院をスタートに奈良の仏像巡礼をするにはとても充実感のあるコースとなる。





安倍文殊院HP:http://www.abemonjuin.or.jp/new/index_m.htm
所在地:奈良県桜井市安倍645番地

近鉄「桜井」駅より徒歩で約20分、バスは桜井駅南口2番乗り場より「37石舞台」行き約7分。
時刻表はこちら>>
   
拝観時間:9:00~17:00
拝観料:700円(お抹茶付き)
その他詳細情報は仏像ワンダーランドHPへ>>




安倍文殊院周辺地図

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参拝日:2011/08/31





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