岐阜市歴史博物館で10月2日まで開催されている「国宝 薬師寺展」へ行ってきました。 |
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岐阜市歴史博物館 パンフレット | |||
今回の特別展は平成23年7月に岐阜新聞が創刊130年となる記念事業として開催されており、 岐阜市内でこれだけ大規模な企画展が開催されることは非常に珍しい。 岐阜県と奈良の薬師寺というと、なかなか結びつかない気がするが、 薬師寺を発願したのが天武天皇(大海人皇子)で、皇后(のちの持統天皇)の病気平癒を祈ってのことであった。 |
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岐阜市歴史博物館 | |||
その天武天皇が天武天皇として統治するまでの歴史を紹介すると、 天武天皇の一代前はその兄である天智天皇で、その時は日嗣の皇子で大海人皇子と呼ばれていた。 もともと天武天皇は自分の次には弟である大海人皇子に天皇の位を譲るつもりでいたが、 天智天皇の晩年に息子である大友皇子が生まれると、やはり親の性なのであろう。 自分の息子に天皇になって欲しいという気持ちが出てきてしまう。 それを察知した大海人皇子は、潔く身を引き出家をし、妃の鸕野讚良皇女と僅かな従者を連れ吉野の地へと隠棲された。 しかし、天智10年(671)12月3日、天智天皇が崩御するとその翌年、吉野に隠遁していた大海人皇子を敵視した大友皇子は大海人皇子の住まう吉野を封鎖しようとした。今で言う必要ないじめがあったのである。そこで大海人皇子はこの大友皇子の行為に、このままおめおめと死を待つことは出来ぬと672年に連れ立った従者たちと共に大友皇子と戦う覚悟をした。 そして、吉野から三重、岐阜と反時計回りに移動するように今の岐阜県不破郡関ヶ原のあたりで大友皇子と一戦を交えた。 これが世に言う「壬申の乱」である。 この壬申の乱では多くの美濃の地方豪族や武士が、大海人皇子の見方をし、 特に美濃出身の3人の舎人、村国男依(むらくにのおより)・和珥部臣君手(わにべのおみきみて)・身毛君広(むげつのきみひろ)には四季を任せたのである。 彼ら三人を呼び寄せた大海人皇子は、私領である湯沐邑(ゆのむら)に派遣して、不破道を塞ぐように命じ、不破郡に行宮を設けた。 村国連男依ら三人衆の活躍はめざましく、わずか一ヶ月あまりで勝利をおさめ、672年7月22日には大友皇子の自刃という形でこの戦乱は終結した。 その翌年に大海人皇子は飛鳥浄御原宮にて即位され、天武天皇となられるのである。 その後、美濃地方では、これからの功績をたたえてのことであろう、 壬申の乱の前後に数多くの寺院が建立された。 簡単に述べたがこれが、大海人皇子が天武天皇となる歴史で、 また岐阜と飛鳥薬師寺とのつながりとなるのである。 |
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岐阜市歴史博物館 | |||
なにより、今回の薬師寺展は現在の薬師寺管主である山田法胤氏が岐阜県根尾の生まれ、安田暎胤長老も岐阜出身、村上太胤執事長も各務原の出身と、 今の薬師寺のトップ3が美濃の3人衆が活躍されているということもあり、 1300年前の壬申の乱に活躍した3人衆と重なるこの縁で、今回の展示会が実現された。 実際に会場に入ると国立博物館のように大きな面積ではないので、30分ほどあれば見てまわることが出来る。 |
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岐阜市歴史博物館 | |||
その中でも、今回の目玉の一つは「麻布着色吉祥天女(きちじょうてんにょ)像」で、普段は薬師寺にて毎年1月1日から1月15日までの期間拝見することが出来るが、金堂で拝見するため距離5メートルほどの所から幅31.7cm高さ53cmの麻布に描かれた姿を拝見するため細部まではよくわからない。 しかし、今回の展示ではガラスケースの中に収められており1メートルもない近い距離で実物を拝見することが出来る。この機会があるだけでも、薬師寺展に行く価値はあるだろう。 麻布に描かれた奈良時代の絵画は、色彩もしっかりと残っており日本の絵画資料としても貴重なものである。ぜひこの機会に拝見してもらいたい一点です。 |
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薬師寺展 図録 | |||
他にも仏像では、休ヶ岡八幡宮の三神坐像(平安時代)、修理が終わり今回薬師寺よりも先にお目見えとなった四天王像(平安時代)、展示の最後には東院堂の本尊である聖観音立像(白凰~奈良時代)が並ぶ。 岐阜市歴史博物館HPに展示の仏像が掲載されています>> 会場奥の物販のコーナーも書籍や御写経勧進の用紙、図録など充実の品揃え。 今回の薬師寺展の図録では、薬師寺のお坊さんが2名来ており、図録に墨で言葉を書いていただける。 今回の薬師寺展は、この地域ではなかなか見ることのできない充実した展示内容となっていた。 また、この岐阜市歴史博物館の向かいには円空美術館、その並びには岐阜大仏で有名な正法寺もある。 岐阜城の散策にはまだまだ暑い日が続くが、この2箇所は簡単に歩いていくことができるので一緒に回ってみてはいかがだろうか。 岐阜市歴史博物館HP:http://www.rekihaku.gifu.gifu.jp 所在地:岐阜市大宮町2丁目18-1(岐阜公園内) 交通アクセス:岐阜市歴史博物館HPを参照 期間:平成23年7月29日(金)~10月2日(日) 開館時間:9:00~19:00(入館は18:30まで) ※ただし9月1、2、6~9、13~16、21、22日は9:00~17:00(入館は16:30まで) 休館日:毎週月曜日 観覧料(当日券):高校生以上 1000円(800円)、小・中学生 500円(300円) ( )内は20名以上の団体料金
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参拝日:2011/08/10 |
日本一のお寺好きが、日本全国の仏像やお寺、イベントなどの情報を分かりやすくご紹介します。主な掲載地域は奈良、京都、滋賀(湖北)、岐阜、愛知、三重が中心です。古刹、名刹、仏像に関しての拝観情報を紹介。西国三十三箇所巡礼、数珠巡礼も紹介します。
2011年8月13日土曜日
岐阜市歴史博物館特別展 国宝 薬師寺展 【岐阜】
岐阜市歴史博物館 「国宝 薬師寺展」
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