2011年5月6日金曜日

薬師寺 玄奘三蔵会大祭に行ってきました。【奈良】

薬師寺 玄奘三蔵会大祭

5月5日、一般にはこどもの日として親しまれている祝日。
奈良の薬師寺では玄奘三蔵会大祭(げんじょうさんぞうえたいさい)が行われます。


薬師寺
薬師寺 南門


法相宗の大本山でもある薬師寺、その始祖とされる方が西遊記でも有名な玄奘三蔵法師であり、そのご遺徳を偲ぶお祭りが玄奘三蔵会大祭なのです。


薬師寺
薬師寺 練供養



当日は、福智院や西方院などの拝観をしていた為、最初からの参加とは行きませんでしたが、15時半頃に薬師寺に着くと大講堂横から玄奘三蔵院伽藍までの練供養がちょうど始まったばかり。


薬師寺 薬師如来坐像
薬師寺 読経


その後堂内に移動して惣礼、唄の後、表白、読経が行わます。

※練供養(練供養)…音楽を演奏しながら行列して歩くことをいい「お練り」ともいう。一般的には来迎した諸菩薩の格好をした人たちが歩く姿で當麻寺などが有名。
※惣礼(そうらい)…物事の始まりの時に惣礼の鐘を鳴らし全員起立のもと鐘の音にあわせ三度頭をさげる。
※表白(ひょうびゃく)…法事の最初に、その法事の趣旨などを仏前に申し述べること。


山田法胤管主による法話
山田法胤管主による法話


そしていよいよ17時からこの日のメインイベントである伎楽奉納がスタート。
この日は三蔵法師役を俳優の榎木孝明さんが2年連続で務め、声明は薬師寺の僧侶さん、伎楽隊には天理大学雅楽部の学生さんたちが素敵な音を響かせていました。


伎楽
伎楽


この伎楽で細い竹を幾本も重ねた笙(しょう)の音色を初めて聞きましたが、実際に耳から聴こえる竹の共鳴しあう音色が大変力強く心地よい響きでした。音楽を聞いて心奪われるというのはこういう感覚のことを言うのでしょうか。


この伎楽の内容は「旅立ちの段」「高昌国の段」「印度ナーランダ寺の段」「仏典将来の段」「譯経の段」の五場で構成されており、 物語は玄奘三蔵法師が鎖国をしていた唐の国から仏典の研究のため西暦629年に国禁を犯し「不東(もう国に戻らない・戻れない)」の決意でインドへ旅をし、サンスクリットの仏経原典657部を携えて唐へ帰国するまでの旅を伎楽で演じています。


玄奘三蔵役 榎本孝明
玄奘三蔵役 榎本孝明


薬師寺のこの祭りは、物語の流れを分かりやすくするよう工夫されており、薬師寺の僧侶が「声明」という形で物語の筋立てを語ってくれるので、私のような雅楽などに余り馴染みのない者にもストーリーは大変分かりやすく楽しむことが出来ました。


およそ一時間ほどの伎楽を楽しみ、18時頃お堂を出ると日没になり最後のイベント万灯供養会の始まりです。
受付時に渡されていた蝋燭に種火から火を移し玄奘三蔵院伽藍一面に設置された置灯篭に一人一つずつ明かりを灯すと辺り一面はオレンジの温かな光に包まれます。


万灯供養会
万灯供養会


太陽が全て西の生駒山に隠れ、その日一日の終わりを告げるように空が暗く覆うと、まるで命の暖かさそのものを伽藍一面で表しているかのような幻想的空間となりました。

これはもともと、お釈迦様が涅槃に入られる前に泣き崩れる弟子たちに向かって、「自らを燈明とし、法を燈明とせよ」と最後の説法をされたことに由来します。

インドへと向かった玄奘三蔵も法燈を求め、また自らの燈明をも灯し続けられたのでしょう。そして、その遺徳を偲ぶ玄奘三蔵会大祭。

私も参拝者の方たちと一緒に伽藍一面を覆う法燈の一つを灯すことが出来ました。




薬師寺玄奘三蔵会大祭HP:http://www.nara-yakushiji.com/contents/genjyosanzoetaisai/index.html
所在地:奈良県奈良市西ノ京町457

近鉄難波、京都から快速急行または特急で大和西大寺で乗り換え。各駅停車天理行きまたは橿原神宮前行きに乗車。西ノ京駅下車すぐ。
   
拝観時間:8:30~17:00
拝観料:玄奘三蔵院伽藍公開時800円、閉鎖時500円





薬師寺周辺地図

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参拝日:2011/05/05





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