2011年3月17日木曜日

無量光院 1202年慶派仏師造立の阿弥陀三尊像【愛知】

無量光院

愛知県の北西部、広大な濃尾平野の中央に当たる稲沢市の無量光院で
鎌倉期の阿弥陀三尊を拝見することが出来た。


この稲沢市は裸祭りで有名な国府宮神社があるように、奈良時代からは国府がおかれた場所でもある。


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無量光院

今回訪れた無量光院の他にも近隣には安楽寺や、今では名古屋市大須に移った七寺(ななつでら)など多くの寺院が存在する。
その中でも阿弥陀三尊形式を本尊とされる寺院が多いのはこの街の特徴なのかも知れない。
愛知県内でも名古屋市、岡崎市に次いで文化財が多く、寺院に安置される仏像も多い。

無量光院は正式には中庄山満願寺無量光院といい、境内には本堂と国の重要文化財に指定された阿弥陀三尊を安置する収蔵庫、鐘楼、庫裏がある。
ここの阿弥陀三尊は本来は重要文化財ということもあり、市の教育委員会を通さねば拝観はできないのだが、急なことを承知して電話で先代の住職にお願いしたところ、承諾を頂いた。

到着し、先代住職のもとへ行くともう90歳は超えているであろうご高齢の方で、耳が遠く私の電話はほとんど聞こえていなかったようだ…
「今日は何の御用で?」
と、言われ今日の拝観は難しいだろうと思ったが、阿弥陀様を拝見させて欲しい旨を30cmほどの至近距離で大声で伝えると、
「本当は市を通さないといけないのだがまぁ良いでしょう」
となんとか拝観許可をいただけた電話ではそう伝えたつもりであったが、現地で直接拝観交渉をしたのは初めてである。


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無量光院 収蔵庫

先代住職に収蔵庫に案内され幾つもの鍵のかかった扉を開けてもらう。
綺麗に掃除のされた12畳ほどのスペースに阿弥陀三尊と中尊と脇侍に挟まれるように毘沙門天と不動明王が安置されている。

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無量光院 収蔵庫

阿弥陀如来は140.2cmの鎌倉時代の造立で、体内の墨書から建仁2年(1202年)に慶派仏師寛慶が造立したことが分かっている。
平安期の定朝様をよく表した姿はこの無量光院から300mほど離れた奥田の安楽寺に平安期の阿弥陀三尊が安置されているのだが、ここの阿弥陀三尊はそれとよく似ているのだという。

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無量光院 収蔵庫

木曽川の肥沃な大地に育った阿弥陀様はバランスも良く柔らかな肉体で、台座は破損したものの明治期に奈良の修理所で修理をし今に至っている。

この稲沢の地は私の知らない優れた仏像が数多く安置された土地に違いない。
これから少しずつではあるが、記録していこうと思う。



無量光院HP:ナシ
所在地:稲沢市中之庄町辻畑101

名古屋駅から名鉄名古屋本線名鉄岐阜行「大里」駅下車 徒歩25分
拝観:要予約(稲沢市教育委員会) 拝観時間:要確認
拝観料:志納
休み:ナシ



無量光院周辺地図

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参拝日:2011/03/10





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